スイス連邦裁判所が「チューリッヒ市とExitの合意は無効」

スイスで自殺幇助を行っている団体というと、
どうしても真っ先にDignitasを考えますが、
実は外国人の自殺幇助を請け負っているDignitasのほかに、
スイス国民を対象に自殺幇助を行っている団体Exitがあり、

そのExitが去年の夏にチューリッヒ市当局との間で
自殺幇助の詳細について合意文書を交わしたとのニュースについて
以下のエントリーで取りまとめました。



16日、スイス連邦裁判所によって
この合意は無効とされたようです。

人の命にかかわる問題は重要なので、
連邦裁判所以外には権限がない、との判断。

上記のリンクで取り上げたニュース記事では
私は対象者要件の曖昧さを問題にしたのですが、

以下の記事によると、その他にも
使う毒物の種類とか、幇助した人への謝礼なども、
合意事項の中に含まれていたようです。

Exitが2009年に自殺幇助した人は217人。



自殺幇助そのものはスイスの法律では違法行為とはされていないということだし、

そもそも、この合意は、確か、
去年から自殺のメッカと言われ始めていることを問題視したチューリッヒ市が
なんとか野放し状態に歯止めをかけようとした試みの一環という位置づけだったと思うので、
(その割には、合意の内容が引っかかりはしますが)

この連邦裁判所の判断、ちょっと解釈に戸惑うところもあって、
なんか、自殺幇助に関する規制の問題というより、
権限・縄張りの問題なのか……? という感じがしないでもない。

でも、英国や米国のコネチカット州の判断から言えば、
それだって、司法ではなく立法の仕事というのが筋なのだけど。


確かに、言われてみれば、
市がExitと合意するような話ではないといえばないだろうけど、

でも、人の命がそれほど重要な問題だというなら、
年に271人もの自殺をExitが幇助していて、
Dignitasには世界中から自殺ツーリズムで人がやってきている現状を、
どうにかすべきでしょうよ。