DALY・QALYと製薬会社の利権との距離についてぐるぐるしてみる Part 1

QALYが「患者立脚型アウトカム」と称して製薬会社のセミナーに(日本)のエントリーで取り上げた
エーザイファイザーの主催によるセミナーの記事を読んだ時に
私が主に考えたのは、

製薬会社が認知症患者への投薬実験の結果をQALYの「効用値」を持ち出して解説し、
認知症そのものには効かなくても患者と介護者のQOLは向上できるんだという理屈で
薬を売り込もうという魂胆が透けて見えるなぁ、

QALYはこれから、そんなふうに
病気そのものへの治療効果がない薬をQOL向上効果によって売り込んでいく製薬会社
マーケティング用の煙幕として濫用されるのかなぁ……ということでした。

それ以上にはDALY・QALYと製薬会社の利権とを
特に結びつけて考えていたわけではありませんでした。

もっとも、DALYについては
ゲイツ財団が熱心に広めようとして提唱者のMurray博士をIHMEに招聘したわけだし、
そのIHMEの理事にはWHOの前事務局長も入っている
そのWHOはゲイツ財団と何につけパートナーとして繋がりが深く、
従って……なのかどうか、WHOもDALYを採用しているのだから、
ゲイツ財団がワクチン・予防医療志向である限りにおいては、
製薬会社の利権も敏感ではあるだろう……という程度の
漠然とした感じくらいは抱いていましたが。

ところが、上記エントリーを書いた後で、
去年9月のDALY・QALY関連エントリーにTBしてくださった
この分野の研究者さんと思われるdojinさんのブログにおじゃまして、
いろいろ教えていただいているうちに、

dojinさんが「QALYについての概論」としてリンクしておられる東大の先生の講演資料
読んでみようとして、あまりに専門的なのにメゲつつ、
自分は読めないくせに人に教えてあげたりしているうちに
逆に教えてもらったのが以下の財団法人。


dojinさんがリンクしておられる東大大学院の福田先生の
QALYに関する講演が行われたセミナーを主催した団体です。

どういう団体か、趣旨をHPのトップページから引っ張ってくると、
情報洪水時代とも呼ばれる今日,一般市民が接する医療情報は,加速度的に増えつつあります。こうした中,情報の担い手であるメディア側に,医療・健康に対する知識と理解が欠けているために生じる情報面でのトラブルが後を絶ちません。

日本が真の意味での医療先進国へと脱皮し,患者主体の医療を実現するためには,何よりもまず,国民が正しい情報に接することが必要であり,そのためのシステムの構築と支援体制を整えることが急務であると考えられます。
 
2004年に創立20周年を迎えた(財)パブリックヘルスリサーチセンターは,生活習慣病の予防と治療,ならびに疫学研究や・臨床試験研究などに対する国 民の意識向上をはかるため,広報モデル事業として,Japan Public Outreach Program(JPOP)を発足させました。この目的の下に参集したテレビ,ラジオ,インターネット,出版などのメディアが互いに連携をとり,医療専門 家グループの指導の元に,市民に向けて正しい医療情報の提供を進めていきたいと思います。

このJPOP活動が,国民と医療者間の情報落差を縮め,患者主体の医療を実現するための一助となれるよう,皆さま方の力強いご支援をお待ちしております。


ところが、摩訶不思議な感じがするのは、
沿革を見てみると、この団体の母体は、なんとストレス学会なのです。

事業概要を覗くと、「ストレス科学研究所」がその中心。
そういうサイトだから当然「ストレスチェック」と「こころの健康相談室」のページがある。

調査研究事業のページでは「ストレス科学研究3つの柱」として

・ストレス科学研究
・臨床支援研究
QOL研究

なんか、こう、そこはか……どころではない薬臭さが漂ってくるような……?

ついでに役員名簿を覗いてみると、
WHOの名誉事務局長がちゃ~んと名前を連ねておられたりもして……。

な~んだか……なぁ……。

次のエントリーに続く)