知的障害のある友人の自殺幇助で17歳が有罪、ただし8か月の自宅拘留(NZ)

去年9月に公園で自殺したのは Ben Dowdellくん(16)。
母親によると知的障害があった。

学校で毎日のように暴力をふるわれるなどイジメにあっていたが
それでも笑顔で(? まぁ、お母さんの証言では)学校には通っていたという。

彼の幇助の罪に問われ有罪判決が出たのは Dillon Gargett くん(17)。

2人とも「抑うつ的な病気」にかかっており、
Dillonに自殺を試みた経験があったことから
死にたいと考えたBenが相談を持ちかけた、とされる。

Dillonと仲間が集まって「Benとのお別れ会」を催した後に
BenはDillonの手を借りて自殺しようとしたのだが失敗。

そこで翌日、その時のグループがもう一度公園に集まった。
Benは他の子どもたち全員に公園から出るように言い
Dillonは立ち去る際に振り返って事態を把握しながら
Benを助けようとはしなかった。

その夜、Benを探していた父親から電話があった際にも
DillonはBenの所在を言わなかった。
そのためBenの遺体は翌朝まで発見されなかった。

もっとも、弁護士によるとDillon自身が非常に複雑な環境に置かれており、
自分の抱える問題で手いっぱいの状況だった、とのこと。

その後、どんなに人生に希望が持てなくとも
人生は生きるに値するものだと考えを変え、
Benの両親にも謝罪した。

もともとは青少年法廷で名前も公開せず裁かれることになっていたが、
何度もBenを思いとどまらせたり命を助けられる機会があったにもかかわらず、
それを怠ったDillonの行動は悪質で、Benの母親も実名公開を望んだとして
高等裁判所に移されて、実名が公開された。

またこれまでの4か月の拘留中も
問題行動が続いたために保釈も認められず、
本人の安全のためにハイリスク・ユニットに入れられていたとのこと。

その4カ月をカウントして、
あと8カ月の家庭拘禁が言い渡された。

その間には精神科のカウンセリングも義務付けられた。

Teen sentenced after assisting friend’s suicide
The NZ Herald, February 12, 2010


当事者がともに未成年とあって、
肝心な事件の詳細が出てきていないし、
加害者の方にも相当な事情があった様子はうかがえるので
これだけの情報からこの事件については何とも言えませんが、

この事件に限らず、
最近あちこちの国で「自殺幇助」として処理される事件が目に付くのだけど、
どうやって「殺人」と「自殺幇助」の区別が可能なんだろう……というのをいつも思う。

そして、また、こんなにメディアで「自殺幇助」が議論されて、
日々メディアに流れている
「障害のある生は生きるに値しない」
認知症の人には死ぬ義務がある」
「家族に迷惑をかけないために死ぬのは美しい」
「障害のある娘を悲惨から解放するために殺した美しい母性愛」などの言葉は、
子どもたちにも届いているのだ……ということを思う。