カナダで障害新生児めぐり無益な治療訴訟
1月13日、両親のもとにAlberta Health Services(AHS)から手紙が届く。
(カナダの医療制度は英国に似ていて、受診時原則無料。
AHSは、英国のNHSトラストに当たるものと思われます)
(カナダの医療制度は英国に似ていて、受診時原則無料。
AHSは、英国のNHSトラストに当たるものと思われます)
あらゆる治療を尽くしたが出生時の無酸素脳症から回復は見込めないとし、
両親が裁判所に停止命令を求めて提訴。
当初、成長もしないし、動くこともないといわれていたIsaiah君が
体重が増えたり、髪の毛が伸びたり、このごろは
開眼したり手足を動かすことも増えてきているとして
両親は、状態が変わるかどうか確かめるために90日間の猶予を求めている。
体重が増えたり、髪の毛が伸びたり、このごろは
開眼したり手足を動かすことも増えてきているとして
両親は、状態が変わるかどうか確かめるために90日間の猶予を求めている。
病院側は、30日しか待てない、と。
この記事を読む限り、不可解なのは
病院からの手紙にある「回復の見込みがない」という表現。
There is no hope of recovery for Isaiah.
病院からの手紙にある「回復の見込みがない」という表現。
There is no hope of recovery for Isaiah.
なぜ「救命の可能性が低い」ではなく「回復の見込みがない」なのか。
それは呼吸器取り外しの理由が
「治療しても救命できる見込みがなく本人が苦しいだけだから」ではなく
「救命はできるが、救命しても重症障害を負うこととなり、
その障害からの回復が見込めないから」なのでは?
「治療しても救命できる見込みがなく本人が苦しいだけだから」ではなく
「救命はできるが、救命しても重症障害を負うこととなり、
その障害からの回復が見込めないから」なのでは?
しかも、この下りは
「脳に不可逆的な損傷を受けた。回復の見込みはない」と一続きになっています。
今のところ、一旦損傷された脳細胞は元には戻らないとされているのだから
「脳損傷に回復の見込みがない」というのは本来、わざわざ断る必要もない無用のこと。
「脳に不可逆的な損傷を受けた。回復の見込みはない」と一続きになっています。
今のところ、一旦損傷された脳細胞は元には戻らないとされているのだから
「脳損傷に回復の見込みがない」というのは本来、わざわざ断る必要もない無用のこと。
脳に損傷を受けて、そのために障害を負いながらも、
適切な支援を受けて通常の日常生活を送っている障害者も世の中には沢山います。
適切な支援を受けて通常の日常生活を送っている障害者も世の中には沢山います。
例えば、事故や脳卒中で脳に損傷を負った人たちに
リハビリテーションで回復の可能性があるとしても、
脳損傷そのものは不可逆だから、
そういう人からも急性期のうちに呼吸器が外されかねない
非常に危うい論理なのではないでしょうか。
リハビリテーションで回復の可能性があるとしても、
脳損傷そのものは不可逆だから、
そういう人からも急性期のうちに呼吸器が外されかねない
非常に危うい論理なのではないでしょうか。
今でも呼吸器をつけて2カ月以上、彼は生きているのだし、
救命可能性について病院が触れていないのだとしたら、
救命可能性について病院が触れていないのだとしたら、
結局のところ、
病院が治療を停止しようとする理由は「救命できないから」ではなく、
「救命するにはIsaiah君の障害が重すぎると判断したから」であり
つまり「救うに値しない命だと判断したから」なのでは?
病院が治療を停止しようとする理由は「救命できないから」ではなく、
「救命するにはIsaiah君の障害が重すぎると判断したから」であり
つまり「救うに値しない命だと判断したから」なのでは?
もうひとつ、気になることとして、
この記事からテレビニュースでの両親のインタビューも見られるのですが、
この記事からテレビニュースでの両親のインタビューも見られるのですが、
記事には「脳死」という言葉は出てきていないので、
病院はIsaiah君に脳死判定を下しているのだけれど記事がそれを書いていない可能性があります。
「成長しない」(ビデオのインタビューによると「髪も伸びない」とも)との説明は
その可能性を思わせます。しかし、それなら、なぜ記事はそう書かないのだろう。
「成長しない」(ビデオのインタビューによると「髪も伸びない」とも)との説明は
その可能性を思わせます。しかし、それなら、なぜ記事はそう書かないのだろう。
今後の展開が気になるケースです。