障害関連ジャーナルが障害者の視点から「自殺幇助特集」(米)

The American Association on Health and Disability のジャーナル
Disability and Health Journal が 医師による自殺幇助問題特集を組み、
自殺幇助と障害について、法的な問題、OregonとWashingtonの実情を検証している。

編集に当たったのは
USC医学部の Suzanne McDermott, PhD.と
Syracuse大学の Margaret A. Turk, MD.の2人。

6本の論文の概要は以下。

・ the Oregon Health and Science Universityの研究者がオレゴン尊厳死法の性格と形態、障害者に与えた影響について調査。尊厳死法の施行からの11年で、同法を利用して死んだ人は401人。障害者に絞ってのデータと、彼らの意見、影響について。

・ Marilyn Golden と Tyler Zoanni という2人の障害者の権利アドボケイトが自殺幇助に反対する議論を総括。

・ Carol Gill, PhD が障害者の権利の活動家の姿や、自殺幇助への彼らからの批判をメディアがどのように伝えているかを総括。

・ Not Dead Yet の弁護士 Diane Coleman, JD が、これまでの最高裁における自殺幇助合法化との闘いと、合法化に抵抗するべく、どのような議論や情報が用いられてきたかを概観。

・ CDCの障害と健康チームのディレクター、 Gloria Krahn, PhD が、the American Public Health Associationの障害部会での議論を時系列で紹介。また自身がそこから学んだことについても考察。

・ 最後に Minnesota大学の Kirk Allison, PhD, MS が、人口という観点から自殺幇助がどういう意味を持つのかを考察。また自殺幇助議論における文言の問題を指摘。


McDermott教授はエディトリアルで

終末期の人は障害と定義される状態にあるので、自殺幇助の帰結は障害者の死である。

障害者は例外的な健康状態にある人だと捉えられ、
QOLの高い生活を送ることが可能であるにもかかわらず差別を受けている。

まずは予見なく、この特集記事を読んでもらいたい。

今後10年のうちには、自殺幇助を合法化したり、合法化を検討する州が出てくることだろう。
しかし、この問題は複雑で、エビデンスも確かなものではない。

批判的な議論はこれだけではないが、他のジャーナルでも取り上げられていることでもあり
ここでは障害者のコミュニティならではの視点に焦点を絞ることが必要だと考えた。



ジャーナルのサイトはこちら

上記の記事には、ジャーナルのサイトからオンラインで読めると書いてあるのですが、
アブストラクトですら10月号までしか読めないようです。