法曹関係者らの自殺幇助ガイダンス批判にDebby Purdy さんが反論

14日のエントリー
英国公訴局長の自殺幇助に関するガイダンスに各界の法曹関係者らから
連名で批判が出たことを紹介しましたが、

それに対して、
もともとの訴訟を起こして問題提起したMS女性のDebby Purdyさんが反撃。

むしろガイダンスは不十分なので、
明確に法律を改正して合法化すべきだ、と。

以下の2本の記事から彼女の発言を拾ってみると、

自分たちの良心が痛むからというだけで、
生活が向上する可能性もない不治の病気や障害のある人に苦しめというつもりですか?
そんなの無茶苦茶です。

自殺するのを最後の最後の瞬間まで待てば
法律が命を救ってくれるとでもいうのなら
政治家は自分たちの活動費のことばかり議論していないで
英国民の命を本気で引き伸ばすことを議論すればいいじゃないですか。
(この4行、ちょっと本意を汲みきれていないかもしれません)

(高齢者に自殺へのプレッシャーがかかるという主張に対しては)

高齢は不治の病ではなく、人生のステージです。
高齢者が危険に晒されているわけでもないのに、
批判の声を上げたグループは問題の論点を理解せず、
むやみに人々の不安をあおっています。

Bradford MS Sufferer attacks suicide law critics
The Telegraph & Argus, November 16, 2009



知らないというよりも、この口調は、たいした興味がないだけのようにも聞こえます。


公訴局長は、幇助をした人が金銭的な利益を得たら訴追すると言っていますが
いったい、どういう意味ですか。

夫と私はこの家を共有しています。
私が死んだら、夫が相続しますよ。

    ―――

この論争は、法律が改正されるまで終わりません。

Concerns over right-to-die law
The BBC, November 15, 2009


前から思うのだけど、この人、自分のことしか言わない。

最初の訴えも「ワタシがスイスで死ぬ時に、ワタシの夫を罪に問わないと約束して」だったし、

裁判所が法律改正は裁判書の仕事ではない、議会の仕事だと突っぱねつつも
暗に、あなたの夫は訴追されることは多分ないでしょうよ、とほのめかした際にも、

それじゃぁワタシは満足できない。
ワタシの夫が帰国した時に、絶対に罪に問わないと約束してくれないなら
この人にそんな危険を冒させるわけには行かないわ。

考え直してもらえないなら、死ぬのはもうちょっと先でいいかと思っていたけど、予定を早めてやる。
ワタシ1人でスイスへ行って死んでやるんだから……と拗ねてみせた。

今回も、
金銭的利益があったら訴追するなんて、どういう意味よ?
それじゃぁ、家を半分相続するワタシの夫は訴追されてしまうじゃないの、というところが不満。

ワタシ以外の人にとって、それがどういう意味を持つかには興味も関心もなく、
そこに想像力を向けてみることがそもそも不得手な人なんじゃないだろうか。

英国社会の自殺幇助に関する法律を改正することの意味を一般化して論じることが出来なくて、
常に「ワタシと、ワタシの夫」の話しかできない人のようだ。

誰か、ためしにPurdyさんに、
「あなたよりも弱い立場の障害者」について聞いてみて欲しい。
この人、きょとん……とするんじゃないだろうか。

そういう人の起こした裁判が「死の自己決定権」ロビーに政治利用されて
「死の自己決定権」の最強のアドボケイトとして祭り上げられてしまっている。

自分自身のアドボケイトしかできない人なのに──。