高齢者ケアへのダイレクトペイメント導入に戸惑いも(英)

ちょっと背景の知識を欠いているので、一部に推測が入ってしまうのですが、

日本の障害者運動が導入を求めてきた
英国の障害者へのダイレクトペイメント・システム
(日本の介護保険や自立支援法のようにサービスを直接利用者に給付するのではなく、
現金給付にして、利用者が直接自分でサービスを選んで購入する、という方法)について、

英国ではどうやら高齢者へも導入が検討されているらしく、
高齢者アドボケイトの Age Concern と Help the Aged から
必ずしも全ての高齢者に使い勝手が良いシステムだとはいえない、との声が出ています。

高齢者の介護ニーズは多くの場合、入院と共に突然に発生するために、

特に病院からの退院時に在宅生活に備えて介護サービスが問題となっても、
家に帰ってからの生活がどういうものになるか、
高齢者本人にも想像がつかないこともある。

また高齢者では若年層の障害者に比べて状態の変化が起こりやすく、
そのたびごとに、きめ細かく介護サービスの内容を調整する必要がある。

そのため、一部の高齢者はダイレクトペイメントの導入を歓迎している一方で、
戸惑いを感じている高齢者もいる、と。

この制度を導入して成功させようとするなら、政府は
高齢者がサービス購入に際して十分な説明を受けて決定できるよう(informed decision)
必要に応じてサポートする体制を作る必要がある、とも。


ちなみに、
英国の高齢者チャリティとして私もここ数年何度かサイトを覗いたり
介護保険情報」誌の連載で触れたりしてきたAge Concern と Help the Aged。

両者の関係が私には全くわからないままだったのですが、
このたび統合して1つの団体になるそうです。

それは強力な団体が出来ることでしょう。



この記事が目を引いたのは、
一昨日、昨日と仕事で某所へ行き、さまざまな介護関連の議論を聞いた中で、
一時さかんに議論された介護保険と障害者ケアとの統合の問題が
またぞろ蒸し返されようとしている気配を感じたからかもしれません。

もっとも、統合すべきだと主張される方々の中には
地域で高齢者も障害者も包括的にケアしていくシステムを
現場で実際に地道に模索・実践してこられた方々もおられて、

何年も前のあの統合議論のように財源論からのみ言っておられるわけではないことは重々分かった上で、
それでもやっぱり抵抗感と警戒感を覚えつつ複雑な思いで聞いてしまったので。


どう考えても、
一旦は抵抗にあって引っ込めざるを得なかった介護保険との統合をいずれ実現するために、
制度の整合性を優先させて作られたことがミエミエの障害者自立支援法
民主党が廃止すると明言していますが、

民主党は、その後どうしようとしているのか、という点や
それに対する障害者運動の対応について
早稲田大学の岡部耕造氏がまとめてくださっているサイトがこちらに。