餓死する権利認められた四肢麻痺男性、Dr. Deathの指南で「やっぱりスイスへ行きたい」と

オーストラリアの Christian Rossiter氏(49歳)に関する続報。
(文末に、これまでのエントリーへのリンクがあります)

ナーシングホームに入所しているRossiter氏は裁判所から
栄養と水分の供給を拒否して自殺する権利を認められたばかりですが、

その後、オーストラリアでDr. Death と異名をとる
「死の自己決定権」アドボケイト、 Dr. Nitschkeのアドバイスを受け、
まずはスイスへ行くためのパスポートを申請したい、と言い始めました。

パスポートが取れて、
自分がスイスへ行くことで誰にも罪に問われるなどの迷惑をかけないのなら
まずはDignitasでの幇助自殺を第1の選択肢とし、それがかなわない場合にのみ、
栄養と水分を拒否するのを次善の策とする、と
同氏の現在の心境を弁護士が公表。

Dr. Nitschkeは今回の裁判所の判断を賞賛し、
このまま自殺幇助合法化すべきだといわんばかりの発言をしていますが、

オーストラリア医師会は
患者には医療を拒否する権利がある。
栄養と水分もその権利の範囲だと認められたに過ぎない。
今回の判決は治療の差し控えの話であって、
決して患者を積極的に死なせることが是認されたわけではない」と。

Quadriplegic wants Swiss assisted suicide
CathNews.com, August 20, 2009


この記事、読んだ時に、思わず、お腹の底で唸った。

うぬぅぅぅ、Nitschke。汚い手を使うな──。

Dr. Nitschkeは今回の裁判所の判断を賞賛しつつも、
しかし餓死は自殺の方法としては苦しいのが難点だ、とも語っており、

Dr. Nitschkeが自分からRossiter氏に接近していったのだな、
そしてこの人を政治利用するために最も効果的な方向へと誘導したんだな、と。

Dr. Nは兼ねてより、
医師の幇助による毒物自殺が最も苦しみが少なく効果的な方法だと説いており、

それが許されないところではヘリウムでの自殺が最も有効だと
あちこちの「死のワークショップ」でその方法を解説する一方、
医師の処方する毒物での自殺幇助を合法化するべきだと主張している人物。
(詳細は文末の関連エントリーを)

記事の中でも、
こういう判決が出たからには、次は四肢麻痺でない誰かが
スイスへ行って死にたいけれども許されないから
止むを得ず、栄養と水分を拒絶する、と言い出すだろう」と語っています。

まずは栄養と水分を拒絶して死のうとしていた四肢麻痺のRossiter氏に
その主張を裏付けるような死に方をさせたいのでしょう。

Rossiter氏はこの後、
スイスへ行って自殺しても、それが誰の罪にもならないように
オーストラリアの法律の明確化を求めるのではないでしょうか。
英国のPurdyさんと同じように。


死を望むほど苦しい状態にいる人を政治利用したい人たちが
あちこちの国で蠢いている──。

死を考えるほど苦しい状態にいる人たちの周辺に、
希望を見出して生きる方向へと支援するためではなく
自分たちの主張のために効果的な死に方をしてもらおうと
親切な理解者・支援者を装う死神みたいな人たちが群がっていく──。

死になさい。
あなたには死ぬ権利がある。
私がラクに死ねる方法を教えてあげるから。
だから、私が指南する通りに死になさい。
あなたの死には利用価値があるのだから──。
あなたが死んでくれると私たちには好都合なのだから──。