チューリッヒ市が自殺幇助に“規制強化”とはいうものの……

Dignitasに次いでスイスで2番目に大きな自殺幇助組織 Exit が
チューリッヒ市当局と、一定の条件で合意したことは12日のエントリーで紹介しましたが、

チューリッヒ市では、こうした規制を秋にも法制化する予定。
かねて外国からの自殺ツーリズムの増加が問題視されていたところに、
英国の著名指揮者夫妻の自殺が世界的に論議を呼んだことが呼び水になった模様。

法制化されればDignitasもその対象となるため、
Dignitasは市外へ引っ越すか、規制条件を飲むかの選択を迫られることに。

以下の記事で言及されている新しい規制の内容としては、

・ 自殺希望者へのカウンセリングの期間を現在よりも延長し、数ヶ月をかけて意思確認を行うこと。

・ 致死薬を処方する医師は希望者本人と少なくとも2回直接会って、意思を確認すること。

・ 本人の自由意志が基本。緩和ケア等の選択肢についても十分に説明されること。

・ 希望者はターミナルな病状であるか、重い障害があるか、重大な事故の後遺症があることを証明する必要がある。

精神障害者ウツ病の人については、医師が心理アセスメントを行ったうえで意思決定能力を判断すること。

・ 身体的な苦痛がない25歳以下の人の自殺幇助は認められない。

・ 営利目的の幇助を予防するため、自殺幇助の料金は上限を500スイス・フラン(461ドル)とする。(Dignitasでは通常6000ユーロ。)

・ 1人の自殺ヘルパーが幇助できるのは12人まで。

なお、スイス政府は秋をめどに
自殺幇助を禁止するか、規制を強化するかについて判断する、としている。

Dignitasは、当然のことながら、反発。

Clampdown on Dignitas suicide clinic
The Daily Telegraph, July 18, 2009


このチューリッヒ市の自殺幇助の条件、
規制を強化するといいつつ、なんとリベラルな……。

重症障害がある人もウツ病の人も事故の後遺症のある人も
本人の自由意志で希望するなら、死なせてあげてもいい──。

25歳以下でも、身体的な苦痛がある人が自由意志で死にたいのであれば
(その苦痛が永続するという条件は無いようだけど?)
死なせてあげてもいい──。