小児へのRisperdalの適応外処方で乳房切除術を受ける少年たち

FDAが成人を対象に認可したRisperdal の自閉症ADHDの子どもへの適応外処方が
米国の小児科医療でルーティーン化しており、

特に男児が胸の膨らむ副作用で乳房切除術を受けるに至るケースが続出。
訴訟も起きている。

記事にリンクされている CBS のビデオでは
14歳で胸が膨らんだ男児は自分のことを女だと思い込んでしまった、とのこと。

この記事、ちょっと興味深いところは、
いわゆる反ワクチン・キレート療法派のブログが書いているもので、したがって、

「Risperdal を平気で子どもに使っている親に
我々のことを“反ワクチン”だの“キレーショニスト”なんて呼ばわる資格があるのか、
そっちこそ我が子を危険に晒す“リスパーダリスト”じゃないか」と
批判への反撃に使っている。



Ashleyの父親は2007年初頭に書いたブログで
背を高くするためにホルモン療法を受ける男児で胸が膨らむ副作用が問題となっているが、
このようなケースでもAshleyに行ったのと同じように
予め乳房芽を切除しておくとよい、と提案しています。

ここで指摘されているRisperdalの副作用についても
彼の提案は当てはまります。

Ashleyの父親やシアトル子ども病院の医師らが言うように
乳房が小さなうちに乳房芽なるものを切除することが実際に
リスクも苦痛も小さく、利益が大きい場合には倫理的に妥当なものなのであれば

このような場合の予防策として誰かが、
例えばNorman Fostのようなトランスヒューマニズム寄りの急進的な小児科医などが、持ち出してきて

「胸が大きくなる程度の副作用なら乳房芽切除で対応できる。
その程度の副作用リスクよりも症状を緩和する利益のほうが大きい」と説いても
不思議はないと思うのだけれど、この2年強の間、そういう声は聞いたことがない。

それは、とりもなおさず、
「本来大きくなるべきでない胸が大きくなる薬の副作用の防止策として
予め小さなうちに胸の組織の一部を外科手術によって切除しておく」という行為が
医療の慣行から見て一般に倫理的だとされる範疇を超えているからでしょう。

それならば大きくなるべき胸が正常に発達することを防止する策として
6歳の女児に行われた乳房切除の、一体どこが倫理的に妥当だというのか。

CBSのビデオでは
「少年たちはpainfulな乳房切除術を受けなければならなかった」という
表現が使われ、術後の痛々しい傷跡の写真が使われています。

正常に発達していた健康な体の一部を外科手術で抉り取られて、
Ashleyの体にはこれと同じ傷跡が残っているのだ……ということの生々しさを
Ashley事件を論じる人はきちんと受け止めていなければならない、と思う。