「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所

長い間英国で論争を巻き起こしていた問題ですが、

犯罪捜査の過程で警察が採取した容疑者らのDNAサンプルと指紋が
その人の容疑が晴れた後にも警察のデータベースに保存されており、
英国政府と警察は犯罪防止に必要な措置だと主張してきました。

それに対して人権擁護団体からの批判が相次いだり、
実際に容疑者とされた人たちから
自分のサンプルの削除を求める裁判が起こされたりしていましたが、

12月4日に欧州人権裁判所は17人の裁判官の全員一致で
無罪の人のDNAと指紋サンプルがデータベースに残されるのは人権侵害であると判断、
英国の警察に1600万人分のデータの削除を命じたとのこと。




国民に関するデータの扱いについては


このところのニュースでは英国政府の姿勢に
ひどくビッグ・ブラザー的なものを感じていたので
これはちょっと歯止めになりそうかな、と。

特に裁判官らが以下のように述べているのは
単に警察データベースの問題を超えて
あまりにも既成事実先行で進められていく科学と技術の開発についても
非常に重要な指摘なのではないでしょうか。

刑事裁判制度における現代科学技術の利用と、それがもたらす利益は
プライベートな生活という重要な利害とのバランスが取られなければならない。

新たなテクノロジーの開発においてパイオニアとしての役割を担う国はいずれも
両者の間に正しいバランスをとる特別な責任を負っているのだ。