「ショートの方が儲かる」と入所者を追い出すホーム

米国のナーシングホームが入所者を合法的に退所させることが出来る理由は以下の6つ。

・ 家に帰れるだけ健康
・ その人が必要とするサービスがナーシングホームでは提供されない
・ 他の入所者やスタッフの健康を害する
・ 他の入所者やスタッフの安全を脅かす
・ 費用を支払いない
・ ナーシングホームが閉鎖になる

これら6つの理由のいずれかをこじつけての入所者追い出しが増えている。


狙い目になるのはメディケイドで長期入所している高齢者で、
中でも認知症があったり、家族の要求度が高い人など
施設にとって費用が嵩んだり手がかかる人。

連邦法も州法も入所者の権利擁護には目配りされており、
退所させる30日前までに通知しなければならないとか
不服を申し立てる権利について説明しなければならないとか、
退所が利用者を害することがないように計画を作らなければならないとか
ルールが定められてはいるものの、守られていない。

それに退所についての法律上の入所者保護はナーシングホームの入所者には適用されても
もう少し自立度の高い人向けに生活の自由度の高いアシスティッド・リビングと称される施設の
入所者には適用にならない。

手口としては、いきなり追い出すのではなく、
他のホームに一時的に移したり病院に入院させて
その後引取りを拒否するというもの。

こうした追い出しを巡る苦情は96年から06年で倍増している。
公式に苦情を申し立てない人もいることを考えれば、
実はもっと多いだろう、と。

高齢者福祉に市場原理を導入して民間企業を参入させれば
競争原理が働いてサービスの質が向上するというのは
日本でも介護保険のスタートから散々言われてきたことで、

(それで悪質な事件を起こしたのは、民間最大手のコムスンだったのだけど)

これからさらに入所施設から在宅への制度誘導が進むだろうことを考えれば、
こういうことって、日本でも起こるんじゃないのかなぁ……。

高齢者だけではなく障害者施設でも。