ハリウッド映画に障害者団体が抗議

DreamWorksの新作映画が知的障害者への差別で問題視されている。

問題になっているのは、
「ミート・ザ・ペアレンツ」、「ナイトミュージアム」などで御馴染みのBen Stillerが監督主演
8月13日に公開予定の DreamWorks 作品“Tropic Thunder”。

登場人物の1人Simple Jackを巡って
retard, idiot, moron, imbecile, stupid などの蔑称(脳たりん、白痴、バカ、アホの類)を多用し、
障害者への hate speech に満ちているとして

The Arc of the United States, the National Down Syndrome Congress,
The American Association of People With Disabilities など
障害者のアドボケイト団体が
抗議活動とDreamWorks側との交渉を続けてきたが、
DreamWorks側は
「役者として成功するためなら何でもやるハリウッドの文化を取り上げたコメディで、
障害者を蔑視する意図はない」として修正をつっぱねており、

アドボケイト側は公開に向けてピケやボイコット運動も検討中とのこと。



既に削除されたらしいですが、
ウェブサイトの予告ポスターのキャッチは
Once upon a time there was a retard.
(昔々、あるところに1人の脳たりんがいました。)

スペシャル・オリンピックの委員長 Timothy P. Shriver氏は
かつて奴隷貿易についての映画Amistadのプロデューサーでもあったことから
「最も信じがたく最も愕然とするのは、誰もこの問題に気づかなかったことだ」と
黒人の描き方には気を使っても障害者の描き方にははなはだしく無頓着な映画関係者を批判。

“Tropic Thunder”の予告編はこちら

私の聴き取り能力を超えているので断言できませんが、
予告編は既に修正されているようです。
もちろん本編が修正されたわけではありません。

ダウン症の息子を持つジャーナリストのPatricia E. Bauerさんが
自分のブログでこの問題を継続して取り上げており、
いくつもエントリーがありますが、
特にこの件の事実関係をまとめたのはこちら

公開前のプロモ関連の映像やグッズが
「バカ」「アホ」「知恵遅れ」を売り文句にしていたことは明白なのですが、
それらは一切の説明なしに、いつのまにやら消えてしまったようです。


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これ、世の中にじわりじわりと障害児・者切り捨ての空気が広がっていることと
決して無関係ではないと思う。

そして、それは日本でも同じなのかもしれない。

ずっと個人的に引っかかっていたことが
この記事を読んで、またぞろ強烈に引っかかってきたのですが、

最近、流行っている「3の倍数でアホになる」というくだらないギャグ。
あれが私にはどうにも気になってならない。

あのギャグには、「アホ」は顔のゆがみや体の一定の動きを伴うという前提があって、
あそこでギャグにされている「アホ」とは障害者に他ならないのではないかと
私にはどうしても思えてしまうのだけど、

なぜ、そのことを指摘する当事者団体も専門家もいないのだろう。

あれを、みんなで無邪気に笑っているうちに、
それを指摘しようとする姿勢そのものを
「空気が読めないヤツ」、「シャレの分からないバカ」と省みない空気が
いつのまにか広がっていくのでは?

上記のBauerさんのブログに寄せられたコメントにも
「あなたたちがジョークとかユーモアを解さないだけ」
「人の気持ちを傷つけてはいけないっていうのがいつから政治的正しさになった?」
「自分が気分が悪いというだけで、他人を非難できると考えるのは思い上がり」
などの声が目に付くのですが。