中絶リミット引き下げず。IVF「父親が必要」は削除(英国)

英国のヒト受精・胚法改正法案の争点についての投票で
中絶のリミットは引き下げられず24週のままに留まることに。

また生殖補助医療を受けるに当たり
「父親役割を担う人物が必要」とされてきた条件は削除されて
独身女性やレズビアン夫婦にも生殖補助医療への道が開かれることに。


中絶のタイムリミットについては、投票前の議論がかなり過熱したようです。
この記事では、個人的には
保守党のNadine Dorries議員が語った看護師としての「失敗した中絶」体験が強烈で、

20週で中絶された胎児を手術室で渡された際に、
容器の中の胎児は血や羊水にまみれたまま呼吸をしようと喘いでいて、
自分は容器を持ったまま立ち尽くして、じっと見ていることしかできなかった、
その子が死ぬのには7分かかった、

ちゃんと生きて生まれてくるような中絶がある、
そういう中絶では起こってはならないことが起こっている、と。

改めて、自分は「中絶」という言葉に、
それが実際にはどういうことかという具体的な現実を想像したことがなかったことを痛感。

一方、労働党のChristine McCafferty議員は
「責任のある決定を行える唯一の人物は妊娠している女性自身。
 中絶はその他の医療と同じく、患者と医師のプライベートな決定であるべき。
 ことの結果を引き受ける者に決定権を与えることを
 英国社会を含め、どうして社会は認めようとしないのか」と。

うーん……。でも、ことの結果を引き受ける人に決定権があることになると、
例えば、いわゆる“Ashley療法”論争で擁護する人たちが振りかざしていた
「直接この子の介護をしない人間は口を出す資格がない」というのと全く同じで、
極端には寝たきり高齢者の手足の切断だって
医師と介護者の決定によって行われることになるし、
終末期医療における諸々の判断も周囲の気持ち次第、
子育て期の子どもは親の思い通りにしてもかまわない……ということになるのでは?

ただ、社会の中で実際に女性は多くのハンディを背負わされていることも事実で、
その意味では女性の選択権が、やはりある程度守られるべきだという気もして、
じゃぁ、「どの程度」なんだとなると、とたんに私は混乱してしまうのですが……。


その他Guardianの関連記事は


Now is the time to decriminalize abortion, says pro-choice lobby
(下院前では自己決定権を主張する女性たちが中絶を妊娠の段階を問わず合法化せよと訴えたとのこと。)


In quotes: The Embryology bill debate
(議員らの主要発言の抜粋)




こちらはBBC



障害や病気のある子どもが生まれる可能性のある胚を
正常な胚よりも優先してはならないとするClause14については、
今日のところニュースが見つかっていません。

今回投票の対象となった4つの争点には含まれておらず、一括で投票されるのでしょうか。