何をいまさら後期高齢者医療制度批判のメディア

さっき10時過ぎに何も考えずにテレビをつけたら
いきなり小泉元首相が国会で演説している映像にぶつかって面食らった。

なんだ、なんだ? と思ったら、

報道ステーション」が
後期高齢者医療制度ができた当時、政府がいかに説明もせず強引に決めてしまったか
国会や委員会での質疑の映像を編集して流しているところだった。

何をいまさら──。
憤りで体が硬直した。

後期高齢者の医療を切り離すという方向性だけは明確に打ち出されていましたよ、当時。
今の高齢者はカネ持ってるし、とね。
それをメディアが知らなかったとは言わせない。

小泉政権下で過酷な弱者切捨て施策が次々と巧妙に進められていることを
メディアはちゃんと知っていたはずだし、
今いろんな形で起こっている医療と福祉の崩壊は、
当時から既に多くの人に予想も懸念もされていたというのに、

2005年の総選挙の時に郵政民営化の刺客騒ぎばかりに連日狂騒して、
医療制度改悪や介護保険改悪の動向も障害者自立支援法案もロクに報道せず、
オモシロおかしい選挙に仕立て上げて小泉政権の追い風を作ったのは
あなたたちメディアではないのか。

あの選挙の当時、
日本中から危機感を募らせた障害者らが不自由な身体を国会へ運び
国会議事堂周辺に布団を持ち込んでまで座り込んだ。
彼らの存在をメディアが知らなかったとは言わせない。
それでも彼らの映像を流すことも、その切実な訴えをきちんと報道することもせず、
ホリエモンと彼の行く先々に群がる人々を
あなたたちは、ひたすら追いかけ続けたのではなかったか。

後期高齢者医療制度の内容を今日まで知らなかったわけでもあるまいに、
高齢者らが天引きされた年金を受け取って混乱をきたし、怒りが頂点に達した日を待って
当時の委員会での強引な採決場面を放送し、
「こうして決められた制度は許せない」、「廃止すべき」と嵩にかかって叩く。

後期高齢者医療制度が混乱をきたしているのは「説明が足りない」からではありません。
老人は、また余分にゼニをとられることに怒っているのです。

そして、
今日もらえるはずの年金が減っていたことに怒った高齢者は、
やがて今度はこれまで受けることができていたはずの医療が
新制度に変わって受けられなくなるという事態にも直面して、
さらに腹を立てることになる──。

そのことをメディアはちゃんと知っているはずだ。

新制度について「説明が足りない」責任の一端は、
あなたたちメディアにあるのではないのか。