ちょっと妙だよ、市場テロ障害女性説

以下のAFPの記事を読んでみました。
なんか、なぁ……この話、ちょっと怪しく思えてきたのですけど……

バグダッドの爆破犠牲者98人に上り米国は”狂っている”とアルカイダを非難」
US slams “twisted” Qaeda as Bagdad bombs toll rises to 98
AFP February 2, 2008

バグダッド駐留米軍コマンダーが記者会見で言ったことと、
イラク軍・当局の関係者数人が言ったこととで
記事が構成されており、
いずれも犯人とされる女性が2人とも知的障害者だったと断言しています。

しかし、その根拠はというと、
2人が非常に似ていたこと
ダウン症っぽい顔つきだった
という程度の話。

さらに、おや?と思うのは、
知的障害者だったという情報にくっついて出てくる内容も
どれもこれも憶測に過ぎないことが事実のように語られているのですね。

例えば米軍のコマンダー
犯人が2人とも女性でよく似ていたと述べたうえで
「2人には知的障害があった形跡がある」
(健常者よりも)状況を把握しにくいためにアルカイダに使われたのだ。
 身体を調べられることも少ないし。

いや、でも憶測をそんなに断定的に語ってはいけないのでは?

一方、イラク軍のコマンダー
2人に知的障害があったことには確信がある(he was sure)と語り、
写真もある。
似ていますよ。
モンゴロイドっぽい顔つきです。 
信用できる情報があるんです。
と言いつつ、

しかし、
2人が血縁だったかどうかはまだ分からないとも言っている。

驚くことに、この人はさらに
2人は誘拐されたと見られ、
自分たちが送られた先で死ぬことになるとも気づいていなかった
これまた憶測を事実のように語る。

そして、
アルカイダは過去にも子どもを使ったことがある。
 あいつらはどんな非人間的な手段を使ってでも汚いことをやるのだ
と、どうもここのところを一番強調したかった様子。

米軍のコマンダーが記者会見でぶち上げたのも、
イラクアルカイダ
狂ったイデオロギーを使って人の心に恐怖を拡げようとしている」。

ああ、それから「遠隔操作」に関しても、
イラク軍の関係者は「知的障害のある女性に爆弾をくくりつけて遠隔操作で爆発させた」と語ったようですが、
米軍のコマンダーは「遠隔操作の形跡はない。起爆の方法は不明。」と。


この人たち、
その2人の女性が知的障害者だったという証拠を
今後きっちりと出す責任があると思いますが。

そうじゃなかったら、
「障害」を利用したり道具にしたのは一体どっちなんだという話にも
なりかねないのでは?

             ―――――――


もう1つ、
これもまた気にかかるのですけど、

キーワード検索をかけると
あちこちのメディアのニュース・タイトルの中で
やたらと目に付くのが以下。

Mentally impaired female bombers kill 64 in Baghdad markets
(知的障害女性爆弾犯バクダッドの市場で64人を殺害)


もちろん自前記事は少ないから
Yahoo!Newsみたいに
上記のAFP伝のタイトルをこういうふうに変えてたりするわけですが、

事実確認もされないうちに
世界中でこんなタイトルがわんさと流れたりして
本当にいいのかなぁ……。

それに、このタイトルのなんとな~く嫌な響き……。
アルカイダへのネガティブ・キャンペーンが入っているとしても
これでは知的障害者スティグマも強化されそう
……って、勘ぐりすぎでしょうか?