倫理委を巡る不思議 ②地域の人をはずした理由

WPASの調査報告書添付の同倫理委の職務規定によると、シアトル子ども病院に恒常的に設置されている倫理委員会のメンバーは議長のほか、医療職、他の病院の医療職、病院理事会それから地域それぞれの代表で構成されています。

それに対して、Slon.comの取材によると、アシュリーのケースを検討した倫理委員会のメンバーはワシントン大学とシアトル子ども病院の職員だけで構成されていました。内訳は医師、看護師、管理職、ソーシャルワーカー倫理学教授、チャプレンそして弁護士。計18人だったとのこと。

内訳からだけ見ると恒常的に設置された倫理委と大きく違うのは、他の病院の医療職の代表と地域の代表とが排除されていた点です。

Salon.comの記事によると、地域の人が排除された理由の1つ(in part)は「患者のプライバシーを守る連邦政府の医療法」とのことですが、これはおかしいでしょう。患者のプライバシーを守るために倫理委員会に地域の代表が参加できないのであれば、アシュリーのケースを検討した委員会のみではなく恒常的な倫理委員会にも参加など出来ないことになってしまいます。

また、患者のプライバシーはあくまで理由の1つですが、それ以外の理由については不明。他の病院の医療職の代表を排除した理由も不明です。


WPASの調査報告書に添付されている2004年5月5日の倫理委員会の記録には、ちょっと不思議なタイトルが付いています。

5/5/2004 – Special CHRMC Ethics Committee Meeting/Consultation

CHRMCとは、Children’s Hospital & Regional Medical Center のこと。不思議なのは、その前のSpecial です。これは何を意味するのでしょうか。上記のメンバーの特異性を考えると、ここでいうSpecial とは、通常の院内倫理委員会とは別の組織であるという意味なのかもしれません。

しかし病院には既に院内倫理委員会が設置されて機能しているのに、なぜアシュリーのケースの検討だけはその院内倫理委員会の検討ではいけなかったのか。なぜわざわざSpecialな倫理委員会を招集しなければならなかったのか

他の病院のスタッフや地域の人など、部外者が含まれていては困る事情があったのでしょうか。