英国の保護裁判所、知的障害のある男性の不妊手術を許可

英国ロンドンの保護裁判所が
本人の最善の利益だとして知的障害のある男性に精管切除を認めた。

男性はDE。37歳で、
10年来のガールフレンドPQとの間に既に2010年に生まれた息子がある。

DE本人はこれ以上子どもを持ちたくないと考えているが
知的障害のため、精管切除の意味を理解することができず、同意はできない。

裁判所に申し立てをしたのはDEの両親で、
これ以上子どもができたら本人に「更なる心理的苦痛」がある、と主張。

ガールフレンドにも知的障害があり、
「2人の安全を守るために」最近では2人きり出会うことが許されなくなっているため、

独立した生活を取り戻すためにも、
本人が望んでいるようにこれ以上子どもを作らないためにも
精管切除は「合法であり、本人の最善の利益」である、と判断。

DE側の弁護士は反論を予想して
「優生思想の流れを受けたケースではない」。

QC(勅撰弁護士)は
このケースは「知的障害のあるほかの人々についてまで
精管切除の適用にOKを出したものとみなされるべきではない」

ちょっと違和感があるのは、Mencapから出ているコメントで、
「裁判所はこの男性の最善の利益が何かということについて
慎重にさまざまな事柄を勘案し、その上で
男性がパートナーと愛情関係を続けられるよう
バランスの取れた決定に至った」




アシュリーの子宮摘出の正当化論の中にも、
「生理について理解できない知的障害者は血を見ておびえたり
精神的な苦痛を味わうので、そういう体験をしないで済むように」というのがあったけど、

この記事を読んで、すぐに頭に浮かんだ、とても単純な疑問。

10年来の特定のパートナーがいるなら、
そのパートナーの方がピルを飲むなり、ペッサリーを入れるなり、
侵襲的でない避妊策をとる、という方法ではなぜいけないのか……??

それから特筆しておくこととして、
保護裁判所の審理については以下のどこかのエントリーにもあるように
ずっと非公開が原則となっていたのですが、
メディアが情報公開に向けてキャンペーンを張ったことから
このように公開されるようになったもの。

それ自体は歓迎すべきことと思います。