2012年9月17日の補遺

9月14日の毎日新聞の「小児移植 課題重く 検証 6歳児未満 脳死臓器提供」という記事の最後の辺りで、聖隷三方原病院院長補佐の岡田真人氏が「終末期を迎えた患者の家族の精神的なケアに対応できる体制を全国的に整えるべきだ」「臓器提供は、あくまでも終末期医療の選択肢の一つ。終末期を迎え、悩む家族に寄り沿うチームを整備することが求められる」と語っている。同氏は、改正臓器移植法に基づく脳死臓器提供のマニュアル作りに携わった人物。:検索してみたら、岡田氏は09年に小児臓器提供 小児終末期医療の一つのオプションとしての臓器提供に対する医療者の対応の仕方というタイトルの論文を書いておられました。臓器提供は終末期医療の選択肢の一つ」というのは持論なのでしょう。でも分からないのは、「終末期医療」というのは、あくまでも患者さん本人のために行われる医療を言うのではないんだろうか、ということ。「臓器提供」そのものは医療ではなく、他者の「臓器移植」への協力行為でしかない。「臓器移植」は医療だとしても、それはレシピエントの利益のために行われる、レシピエントにとっての医療であって、臓器提供する側の利益のための、ドナーにとっての医療とは言えないはず。したがって、誰かが終末期に「臓器提供」を選択するとしても、それをドナーにとっての「終末期医療」に含まれる選択であるかのように言うことはできないはずだと思うのだけど? もしも、それをあたかも本人のための「終末期医療の選択肢」であるかのように言いなしてしまう人が「終末期を迎えた患者の家族への精神的なケア」を言うなら、その「精神的ケア」とは臓器提供への誘導を意味するのでは?



ドイツで自殺幇助を行ってきた団体が、法改正による訴追のリスクから事務所をスイスに移した、というニュース。この団体、これまでに60人のドイツ人に自殺幇助を行ってきた、という情報もあるんだけど?
http://www2.wsls.com/news/2012/sep/15/german-assisted-suicide-group-opens-swiss-office-ar-2208178/
http://www.thelocal.de/society/20120915-44991.html


カナダのイスラム教徒の親が治療続行を訴えた無益な治療訴訟 Baby M事件で、裁判所が親の宗教的信条が子どもの最善の利益に沿っていないとして治療停止を命令。イスラム圏の
http://medicalfutility.blogspot.jp/2012/09/alberta-court-orders-baby-ms-life.html

上記に関連して、イスラム教のシャリア法が“無益な治療”論のターゲットとされつつある気配はRasouli訴訟の前半からあった ↓
「“治療停止”も“治療”だから同意は必要」とOntario上位裁判所(2011/5/17)

8月27日の補遺で拾った、同じくカナダのMr.Lをめぐる無益な治療事件でも、Mr.Lはイスラム教徒。
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/65501693.html


来週、途上国の農業改革めざしthe African Green Revolution Forum(AGRF)のカンファ。基調講演は前国連事務局長のコフィ・アナン氏、メリンダ・ゲイツ氏、ビル・ゲイツ氏など
http://dailynews.co.tz/index.php/local-news/9626-agricultural-meet-set-for-next-week



米国テネシー州の2つのスクール・ディストリクトが教師の効率化を図るために合併するから、もっと資金を提供して、とゲイツ財団に要望。:公教育関連の資金を、スクール・ディストリクトが民間団体におねだりする構図。
http://www.wrcbtv.com/story/19552500/schools-asking-gates-foundation-for-more-funding


日本語。子役のギャラは本人のもの? 親が子どもの扶養家族に? 子どもと親の法的な関係に迫る:親の権利・子の権利を考えるうえで、とても興味深い問題。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120916-00000301-bengocom-soci