豪の社会学者によるA療法批判

(たぶん)オーストラリアの学者さんたちの言論・ニュース・サイトで
人権問題を専門にする社会学者2人がAshley療法の新展開に批判の論考を書いている。

これまでの経緯を説明した後、
今回明らかになった新たな症例は12例とまだ少ないものの関心は広がっていることを懸念。

アシュリー療法の問題点として以下を指摘している。

① 実験的であるのみならず、
障害児に特化している点で差別的である。

特に子宮摘出は違法であるにもかかわらず、
ガーディアンの記事によれば新たなケースでも
適正な司法の関与を求めずに実施されている。

アシュリー療法は国連障害者人権条約違反。
例えば、生殖の権利の侵害(23条)
また、自由な同意なく医療または科学実験の対象とされない権利(15条)

② アシュリー療法は女性のセクシュアリティをネガティブに捉えており、
結果的に、障害のある女性にはセクシュアリティは望ましくないものとの
ネガティブなステレオタイプを強化する。
それはさらには障害のある女性が生殖への支援を受けにくくし、
子どもから不当に引き離されたりすることに繋がる。

ここまでは当初の論争でも指摘されたこと。
次は余り言われてこなかったことだと著者らが書いている通りかもしれない。

③ 障害者への福祉の枠組みが縮減され、
支援やサービスが削減されている昨今では
家族は障害のある子どもの介護にサポートを受けにくくなっており、
社会施策の影響によって親がこうした決断を迫られている面がある。

障害のある若い女性への性的虐待からセーフガードも乏しく、
それはまた障害者への福祉資源と支援が最小限にとどまっていることとも繋がる。

障害者福祉の縮減により経済的な困難に直面し、
アシュリー療法のような過激な医療が親にとって合理的な選択肢となるとしたら、
我々が問うべきはそうした社会の経済施策であり、
それにより障害者に拾い影響が及ぶことを考えなければならない。

障害者の尊厳と敬意を損なう恥ずべき療法を一般化するような
理不尽な経済施策を許すのは止めよう。

Ashley’s treatment: the arrested development of a disabled child
Karen Soldatic, Jo Milner
The Conversation, April 13, 2012


最近、コメントが頭に浮かびません。

懸念していた通りに展開していることへの
無力感もあるのですが、

アシュリー事件について私自身が言いたいことは
「アシュリー事件 メディカルコントロールと新・優生思想の時代」にすべて書いた……

……という気分でもあるので。