NC州で、かつての強制不妊事業の犠牲者への補償に向け知事命令

North Carolina州の Bev Perdue知事が知事命令No.83により、
かつて同州の優生委員会の強制不妊事業の被害にあった者に対し、
終結(closure)と補償(compensation)とカウンセリング(counseling)の3つのCを目指す、と。

5人のメンバーからなる対策委員会を作り、
1929年から1974年の間実施された同事業の実態を解明し
2011年8月1日までに中間報告、12年2月1日までに最終報告を行う。

当初の優生委員会には5人のDorothea Dix 精神病院の職員が入っており、
同州の強制不妊事業の最初の20年間は施設を対象とし、
精神障害、知的障害のある人たちが強制不妊の対象者となった。

1945年からは貧困層の福祉受給者、教育水準の低い者、病気のある者が
新たに対象とされた。

1950年代からは、対象者判断の権限がソーシャルワーカーに与えられた。

45年間で7600人の州民が優生委員会のプログラムで不妊手術を施された。
すべて医師らが「悪い」遺伝傾向の連鎖と考えたものを断ち切るために行われたもの。

多くは高齢化しており、
2005年に3000人以上生存しているだろうとされた被害者は
2010年には2944人ほどになったと推計されている。

NC州は2002年12月に優生委員会が引き起こした不便に対して謝罪。
2003年には前知事 Mike Easleyが優生法の廃止にサインした。



当ブログが拾ったNC州の同じ話題としては、↓
NC州に優生手術の歴史を認める記念碑(2009/6/23)

それから、インディアナ州も2007年に
米国で優生法を制定する最初の州となったことを謝罪しています ↓
今なお聞こえる優生思想のこだま(2007/12/2)


上のの09年6月の記念碑の記事の後半で書いたことを、
もう一度繰り返したく、以下にコピペ。

この記事を読んで目を引かれたのは
優生プログラムの開始が1929年だったという点。
1926年の世界恐慌の直後ということになる。

やっぱり、すごく符合するんだなぁ……と思う。

世界的な不況──。
ヘイトクライムの急増──。
その突出した形としての民族差別、障害者差別、女性差別──。
あちこちで起きている戦争。さらに起こるかもしれない戦争──。
そして、エセ科学の横行──。

(人間の脳やDNAについて、
ほんのわずかなことが解明できたからといって、
それで、すぐにも人間の全てが説明できたり、
体も心も頭も思い通りにコントロールできるかのように
世論を煽り立てるのも立派なエセ科学だと私は思うし)

そして、かつて専門家の権威でそのエセ科学の正当性をでっち上げた
優生委員会に当たる存在として、

今では例の生命倫理とか医療倫理だとかいうご都合主義の御用学問があり、

誰かの必要によって操作可能と思われる(Ashley事件がその証左かも)倫理委員会なる仕組みも
アリバイ作りの装置として、でっち上げられている。

そっくりだ……。

使える科学技術のレベルが断然違うだけで──。

【6月14日追記】
続報がGuardianにありました。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-13700490