哲学者エヴァ・キテイ氏、11月に来日

哲学者のEva Kittay氏が来日するそうだ。
11月10日に京都で、12,13日に東京で講演が予定されているとのこと。

詳細はこちら。(ずっと下の方までスクロールしてもらうと出てきます)

著書は以下。私はつい最近知って読まなければと思いつつ、まだ読めていません。

愛の労働あるいは依存とケアの正義論
エヴァ・フェダー・キティ著 岡野八代、牟田和恵訳 白澤社 2010


当ブログでは、Kittay氏については、
08年にStony Brook 大学(Kittay所属先)で開催されたカンファ
認知障害:道徳哲学へのチャレンジ」を企画し、
敢えてピーター・シンガーを招いた人として知りました。
(シンガーを招いたことへの批判もあったようですが)

このカンファにおけるシンガーのプレゼン内容を取りまとめた
拙ブログエントリーはこちら。(YouTubeもあり)

このSingerの発言に対する、
アルベルタ大のWilson氏によるWhat Sorts of Peopleでの批判をこちらのエントリーで紹介していますが、

そのWilson氏のエントリーに真っ先にコメントを寄せたのが、
カンファ企画者のKittay氏。

なお、Kittay氏には重度の知的障害のある娘さんがあります。

そのコメントでKittayは
現実の経験的な問題から離れた哲学の世界に隔絶して
知識と理論だけで障害者の問題を考えている人たちの
現実の障害に関する呆れるほどの無知に憤りを見せています。

だからこそ、こういう機会に学んでほしいと、Kittayはカンファ第1日目の午前に、
スピーカーの人たちを娘さんたちが暮らしているコミュニティに案内しています。
しかし、シンガーはこの案内への誘いを断ったとのこと。

プレゼン後のQ&Aで、この点についてのやり取りがあったようで、
シンガーはそういう場所に行って何が学べるのか、と問い返した模様。

しかし、学者ならば自分が知的障害について書いている以上、
自分の仕事の対象とするものについて知ることのできる機会があるなら飛びついてはどうか、
なぜ、このように敢えて知らないでおこうとする態度を我々は許しておくのか、

科学の哲学を論じる学者が科学について無知であることは許さないのに
障害に関して哲学を論じる学者の障害についての無知が
なぜ、このように許容されてしまうのか、と憤っています。


あくまでも抽象的な議論で「重症障害児・者」や安楽死を云々する学者さんたちの
実際の障害についての無知・認識不足については私も同じことを何度も書いていますが、
特に先日の安楽死シンポとその後のあれこれでも、また全く同じ印象を受け、
先日こちらのエントリーを書きました。

もう1つ、特筆すべきこととして、Kittay氏は
シアトルこども病院Truman Katz生命倫理センターが組織した
成長抑制ワーキング・グループのメンバーでした。


【13日追記】
一旦アップした後でKittayのコメントを読みなおしたところ、
08年の段階での私の理解は不十分だったようなので、
13日午前、Kittayのコメントの内容は書き直しました。

このあと、コメント全文を紹介するエントリーを立てました。



【当ブログのSinger関連エントリー

ゴチックの5本が、特に上記カンファでのシンガーのプレゼンに関するものです。



その後、書いた【成長抑制WGにおけるKittay氏発言関連】
Eva Kittayの成長抑制論文(2010/11/7)
Eva Kittayさんに成長抑制WGのことを聞いた!(2010/11/12)
「成長抑制でパンドラの箱あいた」とEva Kittay氏(2010/11/23)