2010年9月15日の補遺

骨髄ドナーになり、後遺症に苦しんでいる方のブログを発見。医師もバンクの関係者も、ドナーの健康状態には全く興味を示さず、モルモット扱いだったと怒っておられます。もっともな怒りだと思う。こういう声はなぜか表に出てこないことになっている。
http://blogs.yahoo.co.jp/donor_kotsu/3486779.html

厚労省経産省の介護・福祉ロボット開発・普及支援プロジェクト検討会 資料:ちょうど沖藤典子氏の「介護保険は老いを守るか」岩波新書)を読んだところ。介護保険の「財源が足りない」といっては給付が抑制されて年寄りが人間らしく暮らしてくことも事業所の運営も介護労働者の生活も危うくされている一方で、こういうところに膨大な予算が組まれていくことに、ものすごく矛盾を感じる。最近何でもかんでもに引っ張り出される費用対効果、つまり、この先何年も開発に資金を投入することによって、どれだけの介護・福祉のコストカット効果が見込まれているのか、といったエビデンスは、どこかで説明されているのだろうか。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000qx1i.html

Johnson&Johnsonが途上国の母子保健で国連のミレニアム・ゴール達成のために、と5年間で2億ドルの資金提供を約束。:ゲイツ財団とWHOのワクチンと“革新的家族計画”による母子保健に、製薬会社がゼニを出す。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200785.php
http://uk.reuters.com/article/idUKTRE6880ER20100909



同じくスコットランドで、ホスピス幹部らが自殺幇助法案に賛成しないよう議員らに呼び掛け。看護師らからも、合法化されるとスコットランドに「死のツーリズム」が始まる、と懸念。:それも実際にスイスにエビデンスがある。
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5haUFFdSoj4Gu_Yno_dlWVHbRMtGQ

癌その他の患者の痛みが治療されないまま放置されているのはグローバル・ヘルスの悲劇である、とLancetのコメンタリー。:そう、そう。殺す算段よりも、癒す算段が先。痛みを取ってあげれば生きる希望も出てくる、それができないのは医師の技術と知識不足が問題だと、緩和ケアの専門医は口をそろえて言っているのに。
http://www.lancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2810%2960880-X/fulltext

Diekemaの発言が反発を招いたばかりの包皮切除問題で、親が拒否したにもかかわらずMario君に医師が勝手にやってしまったケースがMiamiで来週、訴訟に持ち込まれる。:ひじょーに興味深い。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200913.php

オーストラリアのナーシング・ホーム啓発週間で「今年の介護者」賞を受賞したのは、ホームの入所者にそれぞれ日々の仕事・役割を担ってもらうプログラムを導入したMaruya Villageケアホームの職員Janine Peuckerさん。:ウチの娘は前に、食事の際に皆が使ったタオルを、食事後の後片付けの際にバケツから洗濯機に投げ込んでいく「仕事」の担当だった。他の子どもたちでは、SRCウォーカーで歩ける人が薬局に皆の薬をもらいに行く人(もちろん看護助手と一緒に)、園の入り口の新聞受けから新聞を毎朝取り込む人、などが決まっていた。みんな、ものすごく張り切ってやっていたらしい。もちろん職員さんが自分だけでやる方がはるかに早い。職員削減が続くとそんな牧歌的な「お仕事」「お手伝い」は論外となって久しい。
http://www.abc.net.au/news/stories/2010/09/15/3011906.htm?site=southeastnsw§ion=news

Minnesotaの子ども病院に、小児緩和ケア向けに160万ドルのNIHのグラント。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/200810.php

英国で特別教育ニーズがあると診断されている子どもたちの半数は、実は障害があるのではなく、ただ単に教え方に問題があったり生活への配慮が不足していたりするだけだ、とOfsted(教育水準局)が報告書を出し、診断技術が向上したのだと専門家の反発を招いている。:ケースによっては、どちらもあるような気がするけど、英国の「薬で何でも簡単解決」文化の背後にある利権構造も頭に浮かぶし、一方で、連立政権の昨今の社会保障の強引な切り詰め方を考えると……。いろいろな方向に深読みしてしまう。
http://www.guardian.co.uk/education/2010/sep/14/half-special-needs-children-misdiagnosed?CMP=EMCGT_140910&
http://www.guardian.co.uk/education/2010/sep/14/ofsted-special-needs-report-criticised