遺伝子変異あれば乳房摘出、卵巣摘出が当たり前の”予防医療”に?

ウォール・ストリート・ジャーナルの以下の記事によると、
米国医学会雑誌(JAMA)に掲載された論文で、

がんに関与する遺伝子BRCA1 またはBRCA2の変異がある女性が
予防的に乳房または卵巣の摘出手術を受けた場合には、
受けなかった女性よりも発がん率が下がり、
死ぬ確率も下がっていることが分かった、と。

一般に、女性1000人に1人にこれら遺伝子の変異があり、
そのうちの50%から80%の女性がいずれ乳がんまたは卵巣がんを発症するとされる。

そこで、そういう女性には医師らから
子どもを産んだ後で乳房摘出と卵巣並びに卵管摘出が勧められている。

とはいえ、手術よりも様子を見ようとする女性の方が多く、
乳房摘出では卵巣摘出よりもさらに躊躇が強い。

今回の調査に参加した2482人のうち、
乳房摘出をしたのは247人、卵巣摘出をしたのは1000人。

医師らは
卵巣がんは治療成績が良いわりに早期発見が乳がん以上に難しいため、
遺伝子変異のある女性には摘出を強く勧めている。

今回の調査結果が、その後押しになることは間違いない。

論文著者は、
卵巣摘出によって早期に更年期を経験することになった女性について
骨密度や心臓血管障害リスクをフォローしていく、と。




去年、こういうことがアメリカでは既に一般的な医療だと書いたAERAの記事を読んで、
以下のエントリーを書いたことがあったのだけど、


一般的な“予防医療”にしようとしている人たちがいる、ということは確かなようですね。


この問題、例えば子どもの遺伝子を親がチェックさせて、
その子どもに当該遺伝子の変異があった場合に、
病気予防のために臓器摘出を親が決める権利はあるのか
という問題もはらんでいるのでは?

“Ashley療法”の関係で、
カナダ、アルベルタ大学のSobsey教授がこの問題を考察しています。
以下のエントリーに。



また、今日の補遺にも拾いましたが、
子どもたちがあまりにも安易に強い精神科薬を飲まされていることが
米国では社会問題視されていますが、

その一方で、こんな話題も。


Ashleyの父親も、ブログで、
背の低い男児に成長ホルモン療法をやると、
副作用として胸が膨らんでくるので、そういうケースでも
Ashleyのように、あらかじめ切除しておけばよい、と提案しています。

要らない臓器、あっても役に立たない臓器は、とっちゃってOK……
利益の方がリスクよりも大きいことは、本人の最善の利益だからOK……

……という人体のパーツ化、どこまでいくんだろう?