2010年6月15日の補遺

① 自殺幇助関連

8日のエントリーで取り上げたコネチカット州の自殺幇助合法化訴訟の判決について、同州の法学サイトが解説。:8日にも思ったけど、英国の下級裁判所段階でのPurdy判決のような意味合いで、司法ではなく立法の仕事としたのだと思う。ただ、Purdy判決は上訴を受けて最高裁が合法化寄りに公訴局に尻を持って行った。Connecticutは、この後どうなるか……。



② Ashley事件

前から時々ネット上で起こるAshley事件の怪現象が、14日にまた起きた。コピペされるのは、決まって2007年1月のAP記事。リードの後に「このケースを議論しよう。家族のブログを読もう」と書いてあるやつ。たいていは科学とテクノ系のサイトに登場する。今回も、いかにもそれらしく、「いかに科学的に乳児のIQを上げるか」を考えているブログらしい。

1つだけコメントが入っているのもパターン通りなのだけど、いつもAshley療法への賛成コメントばかりでは芸がないと考えたか、今回は反対の意を表するコメント。ただ、やっぱ馬脚が現れることに「この療法の宣伝をすると予想外の反響で叩かれるから、私だったら、そういうことはしない」ですと。それでも敢えて世の中の重症児とその家族のためを思って、叩かれながら宣伝して回っている誰かさんはエライ!と言いたいのかしら。否定的な反響を「予想外」というところあたりに、この現象の陰にいる人の肉声が聞こえるようでもある。

この怪現象こそ、Ashley事件がまだまだ終わっていないことの証拠。ただ、気になるのは、この怪現象が起きるのは、決まってA事件で何かの動きがある時だということ。近く、何かある……?



③ Ashley事件・ゲイツ財団関連

日本語情報。ビル・ゲイツ氏が世界長者番付で1位になったメキシコの富豪カルロス・スリム氏と、「メキシコ南部や中央アメリカの貧困層向けの予防衛生支援を目的とした基金設立を発表」。「貧困層向けのワクチン投与や出産・子育ての支援などに」それぞれ5000万ドルを提供し、「先住民社会の女性や子供を中心に支援」。

抵抗しにくい地域の抵抗しにくい貧困層の女性と子どもに、ワクチンと母子保健……。まさか、ここでも「革新的な」避妊とかを考えているのでは? ゲイツさんの動向を知るたびに考えてしまうのだけど、国家って一体何なんだろう? それにしても、最近のゲイツ氏の動き、あっちでもこっちでも急展開している。



④ ゲイツ財団関連

これなんかも、たぶん上の記事と繋がっているんだと思うのだけど、アフリカ南部の国々の女性を対象に、HIV予防薬を仕込んだ膣内据え置きリングの臨床実験がスタートしている。エイズワクチンがなかなか完成しないから、こういうのも研究しているんだとか。

なんでもmicrobicidesといって、ウイルスやバクテリア接触するや効果を示すという薬で、the International Partnership for MicrobicidesというNPOがやっている実験。今回が15回目。効果は確認されていないし、却って感染リスクが高まるという話もあるし、さらには性交時に違和感があるため夫に内緒で入れたら虐待を受ける可能性もあるというのに。

このNPOの人たち、先週のWomen Deliver 2010会議に来ていたとか。Gates財団が途上国の家族計画と母子保健に150億ドルを約束した、あの会議ね。それに、このmicrobicidesによるエイズ予防には国連の関係者も期待を寄せているのだとか。さらに、エイズ予防薬だけでなく、避妊薬も一緒に仕込んだリングの開発も米国の研究機関で進められているらしい。いよいよ「それっぽい」話になってきた……?



⑤ その他

数日前に英国のメディアにも同じような記事があった気がするけど、ヒト・ゲノム・プロジェクト10周年。でも、予想されたほどゲノムが新しい治療に結び付いていない、と。
http://www.nytimes.com/2010/06/15/business/15genome.html?th&emc=th

白米は糖尿病リスクを上げるから、ブラウン・ライスかホールウィ―とにした方がいい、と米国の科学者。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/10307790.stm