ハワイ州で末期の妻を殺そうとした男性が自殺、自殺幇助かどうか分からなくても議論は勝手に加熱

ハワイ州の Robert Yagi さん(71歳)が
病院で、入院中でターミナルな状態の妻 Leatriceさんに向けて発砲し、
自分も死のうとしたものの失敗。

Leatriceさんは軽い怪我のみだった。

Yagi氏は、12月10日に第2級殺人の罪を言い渡された後、
保釈されたが、その後13日に自宅で首を吊って自殺。

Attempted killing puts issue of terminally ill back in spotlight
The Honolulu Advertiser, December 13, 2009



2つのニュース記事は、いずれも
この事件でハワイ州でも自殺幇助合法化に向けた議論が再燃するだろう、との論旨ですが

妻のLeatriceさんが死にたいという希望を口にしていたかどうかは不明で、
またRobertさん自身の精神状態についても、不明だというのです。

もしかしたら、病院で寝たきりの妻の医療費が苦になっていたとか、
夫の方がうつ状態だったのかもしれないし、

本当に妻が死にたいと望んでいたから殺そうとして失敗したのであれば
その妻を残して自分だけが自殺するというのも理屈に合わないと思うのですが、

この事件を政治利用したい人たちが勝手に自殺幇助だと決め付けて熱くなって
「だから、ほら、やっぱり自殺幇助合法化を……」と、騒いでいるような感じがします。


それから、Honolulu Advatiserの記事の方で目に付くのは
ホスピスを利用する患者が増えて
今後の高齢化でホスピスのコストが問題となっていることに、
このような文脈の中で触れられていること。

自殺幇助合法化ロビーの言い分は、
表向き、あくまでも本人の自己決定権ですが、
それがいかに表向きのみのタテマエであるか、
そろそろ化けの皮もはげてきたのかも?

それとも、逆に、そろそろ堂々と
高齢者への無益な医療に使うお金はありませんから
どうぞ自分から望んで死んでください……という露骨な声が上がってくる予兆でしょうか。


ちなみに、以前こちらのエントリーで拾った米国医師会新聞の記事に
ハワイ州でも自殺幇助合法化が検討中だとの記述があったのですが、
どうやら間違いだったようで、

(そういえば、Ashley事件でも、
この新聞のKevin O’Reillyという記者はいい加減な記事を書いていました)

ハワイ州では過去20年間に何度か自殺幇助合法化が議論はされたものの
2007年に議会に提出された法案が否決されて、そのまま現在に至っているとのこと。