四肢麻痺のホーム入所者に栄養拒否で自殺する権利が認められる(豪)


オーストラリア、パース近郊のナーシングホームに入所している49歳の男性Christian Rossiter氏が
四肢麻痺で生きるのは地獄だとして経管栄養を拒否したい意思を繰り返し表明し、
ホーム経営の法人が裁判所に判断を仰いでいたケースで、

金曜日、本人が聴聞に出廷して
「人としての基本的な機能がいずれも果たせない。
鼻もかめないし、涙を拭くこともできない」、
精神状態は健全である、死にたい、と述べた。

またスイスのDingitasへ行くつもりもあるが、
スイス政府の制約によって彼のような場合には手続きが非常に煩雑になっている、とも。

それらの主張を受け、裁判所は
彼には自分の治療を指示する(拒否することも含めて)権利がある、と認めた。

栄養と水分を本人の意思に反して供給してはならない、
しかし、停止することの結果については医療スタッフは十全な説明をしなければならない、と。

Rossiter氏は、まず医療上のアドバイスを受けてから
その後に最終的に栄養と水分を拒みたい、
まだ、この先、説得されて気持ちを変える可能性もある、とも。

オーストラリアの医療法と倫理の専門家は
「精神科の治療の点でも、動けるようになるという点でも
この人のQOLを向上させられるものは何もないと
裁判所が認定したということです」と。

この専門家は
本件は本件に限っての判断であり、前例を作るものではないとも解説するが、

自殺幇助合法化に反対運動を展開している the Right to Live AssociationのPeter O’Meara氏は
「前例となる。大いに懸念される」ので、今回の判断には法的に対抗手段を考えている、と。

また「四肢麻痺の人たちと話をすると、もっと障害の重い人でも、
適切な対応をすれば気持ちを変えられることが分かっている」とも。