A事件:病院記者会見の直後に堂々と相反する発言を繰り返したD医師

ごく最近になって、新たにAshley事件関連の重要な資料を見つけました。

Bioethics Discussionという個人のブログなのですが、
2007年5月8日にシアトル子ども病院がAshleyの子宮摘出の違法性を認めた翌日に
Diekema医師がBioethics Listservというサイトに投稿した文章を
本人の了解を経て転載してあるのです。
(もとの掲載サイトは見つけられませんでした)

More on Ashley: No Due Process
Bioethics Discussion Blog, May 8, 2007


このDiekema医師の文章が実に奇怪で、

いわく、
「WPASの報告書は、違法性に関するWPASの意見を表明したものに過ぎない」
「障害者の権利アドボケイトを倫理委に入れるのは間違っている」
「WPASの意見で最も問題だと思うのは
子宮摘出だけでなく成長抑制にまで裁判所の命令を取れという部分」

しかし、前日5月8日に子ども病院は
プレスリリースにおいてもWPASとの合同記者会見においても
公式に違法性を認めているのです。

病院はWPASとの合意によって
子宮摘出だけでなく成長抑制も乳房芽の切除も
裁判所の命令なしには行わないと明記しています。

倫理委員会に障害者の権利アドボケイトを加えることも約束しています。

つまりDiekema医師が9日に書いた文章は
病院の公式見解をまっこうから否定するに等しい内容なのです。

一勤務医が、自分が働く病院の公式見解をこれほどあからさまに否定するというのは
一体どういう神経なのか。

彼はなぜ、それほど強気の言動をとることができるのか。

とても不思議なのですが、

しかし今年1月のシンポにおいて明らかになった
成長抑制ワーキング・グループの結論を振り返ってみると、

2007年5月8日の子ども病院の記者会見や
WPASとの合意事項はどこかへ消滅してしまい、
むしろ上記の文章に書かれたDiekema医師の見解のほうが
最終的には病院のスタンスに入れ替わってしまっているのですから、

こちらの方が、さらに大きな不思議です。

いったいDiekema医師はどうやって病院に
記者会見まで開いて公にした公式見解を撤回させたのか──。

病院はまた、なにゆえに
記者会見まで開いて公にした公式見解を
撤回するとアナウンスすることもなく破棄して方向転換してしまったのか──。

そこに見え隠れするのは、やはり
Diekema医師にこれだけ強気の発言をさせるだけの背景があった可能性なのでは??

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これほど明確ではないものの、
Diekema医師は記者会見直後にメディアの取材に対しても
病院の公式見解と矛盾する発言を繰り返していました。

そうした発言については英文のままこちらに引用してあります。