薬の無料サンプル、害の方が大きいかも(米)

米国では医師の診察室で薬の無料サンプルが手渡されることがあるらしくて、
CDCが2004年に行った調査で特に子どもへの弊害の可能性が指摘されています。

6日にPediatrics誌に発表されたもの。



2004年の1年間に、後に問題が指摘された
Advair(ぜんそく)、Adderrallと Strattera(ADHD)、Elidel(湿疹)の無料サンプルを
もらっていた子どもは50万人に上ったとのこと。

例えばElidelは2歳以下の子ども38000人の親に手渡されたが、
その後皮膚がんの報告が出てきて、
FDAは因果関係を確認していないものの、
薬のラベルには警告と2歳以下は認可の対象外であることが明記された。

もともと製薬会社のマーケッティングの一環である無料サンプルは
新薬である場合が多く、安全性が完全に確認されているとはいえないこともある。

調査では
貧困層の子どもたちと富裕層の子どもたちの間で
サンプルを受け取る確率に差は見当たらなかったが、
これは貧困層の子どもたちの方が受診する確率が低いためで、
いったん受診したら無保険の子どもたちがこうしたサンプルをもらう確率は高い。

「無料サンプルの廃止も視野に、
これらサンプルのリスクと利益について更なる研究が必要」とこのたびの主任研究者。

というのも、どうやら
無料サンプルの受領時には医師のサインが必要となることから、
医師と面会のきっかけを作るプロパーさんたちの口実に使われているらしく、
無料サンプルがなかったら会ってももらえないのでは、と
廃止を不安視する声がある一方、

医師らからは
無料サンプルがマーケッティング戦略として使われて
医師の判断に悪影響を及ぼしている……

無料サンプルは医師が危険な薬を過剰に使うことに繋がっている……

無料サンプルなどでプロモされる薬は一般的に処方料(?)が高い……
(co-payment for prescriptions)

……などの批判が起きている。

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Norman Fostが小児科の臨床実験について、
リスクを背負う人にはそれなりの報酬すら出せばいいことだと放言していたのを
つい思い出してしまったのですが、

もしもFostのような考えが「暗黙の了解」として働けば、
無保険の貧困層に無料のサンプル薬を提供することを
“報酬”であり彼らの“利益”だと都合よく解釈して
無料サンプルが貧困層の子どもたちへの体のいい「実験」に……てことは?