「障害児支援の見直しに関する検討会の報告書」から考えること 1

7月22日に発表された障害児支援の見直しに関する検討会の報告書
しばらく前に読んでみました。

既に成人した娘が「障害児」であった頃の体験や
親としての自分の当時のあれこれの思いを振り返りながら読むと、
いろんなことを感じ、思い、考えるのだけれど、

とても素朴に、胸に響いてきたのは、

家族の形は様々であると考えられるが、障害児のいる家族にあっても、男性も女性もともに働きともに子育てをする男女共同参画の視点も踏まえた支援が必要である。

という下り。

ちょうど20年前、いろいろな事情から窮して
市役所の福祉課に電話をかけたことがあった。

「重度の脳性まひの1歳児なんですけど
昼間の保育をお願いできるところはないでしょうか」

返って来た答えは

「その子のお母さんはどうしておられるんですか」
「私が母親ですが、フルタイムで働いているんです」

すると、相手は呆れた口調になって
「普通、子どもが障害を持っていたらお母さんが仕事を辞めて
子どもの面倒を見ておられますよ」

それが当たり前だろうと言わんばかりの口調には非難のトゲがあった。

実際には、その後、個人的に掛け合ってみたら受け入れてくれる市の保育所もあったし、
それやこれやと動いてみたことが功を奏して、
知的障害児の通園施設にたどり着くことが出来たのだけれど、
「子どもに障害があるのに母親が仕事をしようなんて……」と
それだけで愛情の薄い母親であるかのように言われることはその後も多かった。

そして、実際には
障害があっても健康な子どもしか現実には保育所には通えないし、
ウチの娘のように障害があるために言語道断なほどに虚弱で病気ばかりしている子どもは
通園施設の重症児のクラスにすら半分も通えなかった。

その他にも諸々の事情があって結局は私は離職するしかなかったし、
そのことのインパクトは今なお私自身の内面や周辺との人間関係に尾を引いている。

だから「報告書」の中でも
この部分はまるでゴシック体で書かれているかのように眼に飛び込んできたし、

ああ、時は流れたのだなぁ……社会の意識がここまで変わったのかぁ……と
感慨がひとしおだったのだけれど、

しかし、ずっと読み進んでいくと、
相変わらず「母子入園による養育方法の支援」とあって、

なんだ、障害児の親でも男女問わずに働きましょう、でも子育ては母親の仕事だよ……
というのがホンネかよ……とガクッと。


そしたら今日、こんなニュースを見つけた。


なんだ、現実はちっとも変わってないんじゃないか……。