「チーム医療」の不思議

もう何年か前のことになりますが、仕事の関係で、
医療関連のいくつかの職種向けの専門誌をつまみ食いしてみた時期があって、

当時は(今もそうかもしれませんが)
どの職種向けの雑誌でも「これからはチーム医療だ」ということが強調されていて、
そういう特集や対談や論文をいくつか読んでいたら、面白いことを発見。

どの職種の雑誌でも「チーム医療」を巡っていろんなことが考察されているのだけれど、
最も熱心に論じられているのは、どうやら
「我らが職種の専門性と役割をいかに他職種に認めさせるか」という1点。

つまり、
「私たちの専門性を他職種に如何にアピールし分からせ認めさせるか」というのが
「これからのチーム医療はどうあるべきか」という議論の要諦であって、

どの職種もそういう方向で議論をしていて
「他の職種の専門性を認めよう」とか
「他職種の役割について、ちょっと学んでみよう」という方向の話は
ほとんど見当たらない。

それって結構すごいな……と。

だって、そこのところで議論は既に「チーム医療」の本質を外れているのに、
どの職種もその肝心なことに気づいていないみたいで。

もちろん今は違っているのかもしれませんが。

あ、でも、この前、某所で、
後期高齢者医療制度における医療と福祉の連携を巡って、
やっぱり「専門性を認めろ」と迫るケアマネと
「何をこしゃくな。頭が高い。教えてくださいと腰を低くして来い」とつっぱねる医師とが
そういうホンネを結構えげつなくチラつかせながら
表面的には「連携して患者のために」とキレイゴトを言い合っていたっけな。

専門性というのは視点の違いのはずなのに、
それが上下のヒエラルキーで捉えられている限り、
本当の「チーム医療」も「チームケア」もありえないと思うのだけどな。