遺伝情報差別禁止法(米)の不思議

特定の病気の遺伝子を先祖から受け継いでいるとの遺伝子テストの結果によって
従業員や保険加入者を差別してはならないとする遺伝子情報差別禁止法が
4月に米国議会を通過、5月21日にブッシュ大統領が署名して法律として成立。

法案を提出した保健・教育・労働・年金委員会の4月のプレス・リリースによると、
Edward Kennedy委員長は「新世紀初の市民権法だ」と語り、
また委員の一人Enzi上院議員
「これで遺伝情報が誤用されたり濫用される心配をせずに誰もが遺伝子検査を受けられて、
 遺伝子研究が約束している、命を救い健康を増進するという目的が達成される」と。

しかし、
Enzi議員の言葉に明らかで、
以下の記事にも雰囲気が漂っているように、
この法律の目的は遺伝子検査への懸念を取り除き、
検査を受ける人を増やすことにあるようなので、

それなら遺伝子検査推進法とか遺伝子診断活用健康増進法でも名づければよく、
遺伝差別法と名づけてはいけないのではないでしょうか。

だって、
胚や胎児の遺伝子を調べて、それによって生き死にを決めるというのは
遺伝子情報の最大の濫用であり最悪の遺伝子情報差別なのでは──??????



Your genes, your privacy
Out opinion, The USA Today, May 21, 2008


【追記】
英国ではハンチントン病の遺伝子情報を保険会社が契約可否の判断材料に使うことが認められ、
それ以外の病気についても今後認める方向が打ち出されているようで、
それに関する情報をまとめてくださっているブログがあったので、TBさせていただきました。