2013年5月16日の補遺

緩和ケアの専門家が死の数日前から数時前に起こる現象を詳細に研究した論文。:尊厳死や平穏死が云々されて、まるで終末期医療そのものが包括的に「無意味な延命」であるかのような言論操作がされているけど、こういう研究によって終末期そのものを理解することって、実はまだまだ必要なんでは?
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00520-012-1677-3

米VT州の自殺幇助合法化は「ルールなし」だとWesley Smith.
http://www.nationalreview.com/human-exceptionalism/347821/vermonts-coming-no-rules-assisted-suicide

CT州の障害者から「障害者が全てPAS合法化に反対なわけじゃない」と。:英国でも有名な障害学者のトム・シェイクスピアは賛成派。エントリーもありますが、気力がないのでリンクはパス。
http://www.theday.com/article/20130512/OP05/305129962/1044

Nicklinson訴訟を引き継いだPaul Lamb訴訟で、判事が個々の障害者や患者の苦境ではなく法の原則が判断基準、弁護士は世論調査を引き合いに出すが、世論はいつどのようにでも変わる、と。
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/law-and-order/10054106/Lord-Chief-Justice-wont-allow-personal-sympathy-to-sway-decision-on-assisted-suicide.html

英国でFalconer議員が提出する予定の自殺幇助合法化法案は、なんでも一定の要件を満たしているかどうかの判断をGPに託すものなのだとか。:それなら通らないだろうと、ちょっと安心。
http://www.publicservice.co.uk/news_story.asp?id=22946

英国で論争になっているリヴァプール・ケア・パスウェイはQOLを上げるんだという調査結果。:問題はLCPそのものじゃない。それを適用する側の「どうせ先のない高齢者」という意識。これもエントリーいくつもあるけど、気力がないのでリンクはパス。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/260390.php

メディケアでの薬の処方が十分に規制監督されていないため、高齢者や障害者に過剰投与で危険が及んでいる、と、ProPublica。:読もうと思ってプリントアウトしたまま数日が経過……。気になる記事。
http://www.propublica.org/article/part-d-prescriber-checkup-mainbar

将来どういう病気にかかる可能性があるかというゲノム情報を医師は求めていない患者に伝えてはならない。その情報のコントロール権は患者にある。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/260363.php

アンジェリーナ・ジョリーの両側乳房切除を巡り、予防的乳房切除のジレンマに関する記事。:一昨日NYTでジョリーの記事を読んだ時、日本でこの話題がどのように報道されていくのかが想像されて、途中で読み続ける気力がなくなってしまったのだけれど、日本のメディアはその時の予想通りの反応をしている。そこではあまり報道されないのだろう否定的な見方や懸念の声も紹介されているので、エントリーにしようと3分の2ほど書いたのだけれど、最後に近づくにつれ科学とテクノで簡単解決バンザイのアメリカ文化の匂いが濃厚になっていくのにメゲて、原稿はゴミ箱へ入れた。
http://www.nytimes.com/2013/05/15/health/angelina-jolies-disclosure-highlights-a-breast-cancer-dilemma.html?pagewanted=all&_r=0

アンジェリーナ・ジョリーの担当医が手術の詳細を明かしている。「女性が予防的治療を理解する一助に」と。
http://www.guardian.co.uk/society/2013/may/15/angelina-jolie-mastectomy-doctor-blog

定期的に低容量のアスピリンを飲むと乳がん予防になる、という研究結果も。:アスピリン、スタチン、ビタミンD予防医学の万能薬。いくらでもマーケットを創出できるという意味でも“万能”薬。これもエントリーは多いけど、同じくパス。ttp://www.medicalnewstoday.com/articles/259480.php

脳卒中や心臓発作などのスクリーニングを行う会社と病院とが提携して、ほとんどの人には必要ない検査を売り歩いている、との非難。:上の両側乳房切除に関するジレンマの記事でも、ジョリーは非常にまれなケースで、大半の女性はそんな検査を受ける必要などない、と専門家が語っている。「病気予防で正常な人体組織を切除しなければならないなんて、改めて考えたらグロテスクなことですよ」とも。
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/hospitals-promote-screenings-that-experts-say-most-people-should-not-receive/2013/05/13/aaecb272-9ae2-11e2-9bda-edd1a7fb557d_story.html

<子宮頸がんワクチン>副反応 未報告例も調査 「子宮頸がんワクチンの副反応は09年12月の販売開始から昨年末まで計約340万人(推計)が接種して1926人。このうち重い障害が残るなど重篤なものは861人に上る」。それでも「厚労省の幹部は「ワクチン成分による副反応の他に筋肉に注射するため神経が針で傷ついた可能性もある」:どうかしてないか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130516-00000007-mai-soci

出生前診断、1か月で441人=9割が高齢妊婦、9人異常疑い/実は陰性のケースも
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130510-00000140-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130515-00001693-yom-sci

モンサントGM作物の種子を買った農家に作物から取れた種子の利用を禁じていることは農夫側の権利の侵害だと農夫が訴えた訴訟で、米最高裁は全員一致でモンサント側の言い分を認めた。その理由とは、もし農夫側の作物から採取した種子を使う権利が認められたら「発明技術による最初の種子が最初に売られた後は、特許の価値が急落する」から。
http://www.nytimes.com/2013/05/14/opinion/soybeans-and-the-spirit-of-invention.html

ロックフェラー財団の慈善の歴史、100年に。:慈善資本主義を云々すると、陰謀説だと言われるけれどね。何かというとすぐに「陰謀説だ」と全否定するのも思考停止。
http://www.washingtonpost.com/business/rockefeller-foundation-marks-100-years-of-achievement-and-controversy-as-global-do-gooder/2013/05/12/eaeaf3dc-bb1e-11e2-b537-ab47f0325f7c_story.html

人クローンES細胞作製…日本人研究者ら世界初
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130515-OYT1T01708.htm

日本。クローズアップ2013:「卵子提供」へ賛否 「見切り発車」に不安
http://mainichi.jp/opinion/news/20130514ddm003040123000c.html

ストーカー、治療でも予防へ…警察庁が方針転換:日本にも、モラル・エンハンスメントに向かう芽は潜んでいる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130503-OYT1T01065.htm

日本。18歳未満で4人目の脳死判定 広島:もうあまり話題にもならなくなった……。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130511/k10014504541000.html

英国オックスフォードで何年にも渡って11歳から15歳の少女らを監禁し、薬とアルコール漬けにして売春させていた組織犯罪が発覚。多くは養育や愛情に欠ける家庭の、行方がしれずとも誰にも心配されないような境遇の少女たちが狙われていたという。7人を逮捕。何度か警察や児童局への通報があったにもかかわらず、今まで発覚することがなかった。
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/may/14/oxford-gang-groomed-victims-hell
http://www.guardian.co.uk/society/2013/may/14/oxford-abuse-ring-social-services
http://www.guardian.co.uk/uk/2013/may/14/oxford-child-sex-ring-police-investigation

上の事件を受け、レイプや性的虐待について正面から語ろうとしない男性や社会に向け、ええ加減にせえよ、と怒る女性ジャーナリストたちの声。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/may/15/we-have-to-listen-to-abused-children
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/may/15/angry-men-wont-discuss-rape-abuse

で、それと同じ憤りを覚える、日本の政治家の発言。東京新聞【コラム】筆洗「 性の営みという最も私的な領域まで管理、利用されるのが戦争だ。「慰安婦制度は必要だった」と明快に言い切る政治家には、兵士を派遣する立場の視点しかない。自らが一兵士として列に並び、妻や娘が慰安婦になる姿など想像できないのだろう」引用されている詩が心に痛い。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013051602000135.html

生活保護法がとんでもないことになりつつある。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-123.html

日本。行方不明の身分を売った「被災者ゴースト」たちのいま
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20130512/Spa_20130512_00421152.html

国労働党員が、貧困の原因は個々人にあり、社会や政治政策にあるわけではない、という見方を強めている。
http://www.guardian.co.uk/politics/2013/may/14/labour-voters-poor-