2010年4月21日の補遺

鼻の粘膜細胞(OEC)を移植することによって、中枢神経系の損傷を修復することができるとして、MS、脊損、ALSが治療可能といわれているが、脳性まひの子どもにも治療の可能性がある、と中国の研究者。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/186039.php

この記事からは分かりにくいのだけど、この問題は実は以下の問題に繋がっているものらしい。

中絶胎児組織の研究利用 ― アメリカでのモラトリアム時代 玉井真理子(2003)
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/taizireview.htm

神経再生研究における胎児組織利用に関する見解(2005年4月5日 日本せきずい基金
http://www.jscf.org/jscf/SIRYOU/igaku-1/saiboisyoku/jscf050405.html

死亡胎児の組織利用を巡る倫理的問題 森芳周 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程 臨床哲学
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/eth/OJ2-2/mori.htm

「捨てられるいのち、利用されるいのち ― 胎児組織の研究利用と生命倫理」玉井真理子・平塚志保(2009)
http://www.arsvi.com/b2000/0902tm.htm

どこで見たのだったか、もう思い出せないし、
もしかしたら上記リンク以外でのことだったかもしれないけど、
臨床現場で医師は患者に対して「医の倫理」を持っており、
一方で科学を発展させる「科学者の倫理」との板挟みになる時代だという話と、
その相克の中で胎児組織の利用においては、
医師は「医の倫理」を捨てて「科学者の倫理」をとった
という分析が印象的だった。

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文系頭には、一体どういうものなのか想像もつかないけど、これまでのワクチンと違ってDNAワクチンなるものが開発されつつあって、それがまたビジネス・ポテンシャルの大きな新分野ということらしい。この記事でC型肝炎のDNAワクチンと開発中とされているのは、スウェーデンカロリンスカ研究所
http://www.medicalnewstoday.com/articles/186032.php

Massachusetts州の医療保険改革、5年かけて州民の97%が医療保険に加入。
http://www.nytimes.com/2010/04/21/opinion/21wed1.html?th&emc=th

Kansas Cityの都市部の小学生の7%が白癬菌に感染している。:そういえば、英米で頭に虱がいる子どもが多いという話もずいぶん前に聞いた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/185898.php

日本語のニュースにもなっていたけど、BBCの番組がケンブリッジ大の科学者と11000人のボランティアで検証実験を行ったところ、脳トレ・ゲームそのものは練習によって上達するものの、それが認知機能の向上には影響しないことが判明。Nature誌に論文掲載。:この番組の名前はBang Goes The Theory。通説が一瞬にして覆される感じが良く出ていて面白い。もともと「○○は必ずできる!」とか「○○すれば、こうなる!」と簡単に断言するような人は大した学者ではないし、そういう断言で提示される内容は眉唾だというのが通り相場だろうと思うのだけど、なにしろ、そういうエセ科学は多いので、日本でも検証番組を作ったら面白いのに。ちょうど昨日だったか、朝日新聞に「脳科学はまだ発展途上で応用には十分な注意が必要」とする研究者らの考えと、脳神経科学学会が1月に研究成果を発表する際には科学的根拠を示すようにと声明を出したという記事が載っていた。こういう批判や反省が、もっと専門家の間から出てきてもいいと思う。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/apr/20/brain-training-games-iq